写真:全日本空道連盟広報部 はいチーズ!フォト
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対戦において、名前が先に記されている選手が青道着、名前が後に記されている選手が白道着を着用しています。
第80回国民スポーツ大会
デモンストレーションスポーツ空道競技 成人の部
全試合ダイジェスト
男子-230クラス
■1回戦
近田 充(宮城県 多賀城市 44才)vs小松 慎(新潟県 新潟市 26才)。本戦でパンチ連打で効果(1ポイント)を得た小松が旗判定5-0で勝利。
中川 昇龍(大阪府 岸和田市 23才)vs巻 礼史(福岡県 筑紫野市 55才)。本戦で副主審3名は中川に、副主審は巻に旗を上げ、主審は中川勝利を支持。トーナメントが終わって振り返れば、今大会で優勝した中川にポイントを許さなかったのは、巻のみ。55歳にして、30歳以上若いチャンピオンと接戦を演じた鉄人は賞賛されるべき存在であろう。
田中 脩斗(愛知県 日進市 22才)vs今村 将崇(東京都 豊島区 20才)。大道塾総本部寮生となった今村に対し、本戦で右ストレートで効果(1ポイント)を得た田中が旗判定5-0で勝利。
■2回戦
大西 凜駿(東京都 豊島区 24才)vs小松 慎。本戦は大西に2本、小松に1本、旗が上がり、主審・副主審が引き分けを支持。延長、大西が腕をスネで踏んでガードのできない状態にしたうえでのマウントパンチで効果(1ポイント)を奪い、勝利。
中川 昇龍vs鈴木 誠士(青森県 三沢市 22才)。本戦は中川に副審の旗3本が上がるも、主審・副主審が引き分けを支持。延長、中川が右ストレートで効果を奪った後、左フックで鈴木を担架に乗せ一本勝ち。
佐々木 龍希(北海道 小樽市 22才)vs阿部 真太郎(宮城県 多賀城市 35才)。本戦で佐々木が絞めで一本勝ち。
目黒 雄太(新潟県 長岡市 34才)vs田中 脩斗。目黒が得意の首投げで巻き込み、テイクダウンを決めるが、田中は下からの蹴りであわやという場面をつくる。本戦で目黒が旗判定5-0で勝利。
■準決勝
大西 凜駿vs中川 昇龍。本戦で中川が左フックで大西をダウンさせ、一本勝ち。
佐々木 龍希vs目黒 雄太。本戦は目黒に副審の旗3本が上がるも、主審・副主審が引き分けを支持。延長、目黒が左上段回し蹴りで有効(2ポイント)を奪い勝利。
■決勝戦
中川 昇龍vs目黒 雄太。目黒は2回戦、準決勝で猛威を振るった中川のパンチをノーガードでのボディワークでかわし、クロスカラーを持っての展開、蹴り足をキャッチさせてのパンチ……といつもながらの変幻自在の組手をみせるが、中川はその流れにのまれることなく、チャンスをうかがい、延長戦で、右中段回し蹴りに右ストレートを合わせ、効果(1ポイント)を奪取。旗判定5-0で勝利を収めた。中川は3歳から空手(伝統派)をはじめ、小学3年時に大道塾に入門、その後、フルコンタクト空手にも取り組み、高校1年生にて空道でU19全日本優勝、一般(成人)の部門に昇格して以降は、目黒・大西・佐々木(龍)らトップ戦線に勝利することはなく、国際大会での負傷(ヒジの脱臼)による戦線離脱期間などもあったが、この日、一気にブレイクスルーを果たした。ジュニア時代に活躍した選手が、一般部門に昇格して、すぐには勝てず、経験を積んだ20歳代中盤となって頂きに手を掛ける……スポーツとして理想的な育成システムの構築を空道競技が完成しつつあることの顕れとも捉えられよう。
男子-240クラス
■1回戦
柴尾 頼芽(北海道 小樽市 18才)vs佐々木 翼(東京都 八王子市 20才)。本戦、佐々木に2本、柴尾に1本副審の旗が上がるも、主審・副主審は佐々木の勝利を支持。
佐々木 惣一朗(宮城県 仙台市 22才)vs戸松 裕哉(東京都 横浜市 22才)。本戦、投げからのキメ打撃で効果(1ポイント)を得た佐々木が旗判定5-0で勝利。佐々木の反り投げに警告が与えられたが、必然的に相手に頸椎過屈曲をもたらすような投げ方でなく、相手が頭部から着地したとしても順次背~腰部が着地するよう、体捌きが伴われた投げであり、合法なようにもみえた
伊東 宗志(愛知県 日進市 29才)vs柴田 光一郎(東京都 江戸川区 29才)。本戦でパンチ連打で効果(1ポイント)を得た伊東が旗判定5-0で勝利。
吉澤 成彰(東京都 市川市 30才)vs遠藤 春翔(東京都 豊島区 24才)。本戦でニーインベリーからのキメ打撃で効果(1ポイント)を得た遠藤が旗判定5-0で勝利。
鶴田 陸(福岡県 朝倉市 23才)vs宮沢 琉伊(東京都 北区 22才)。ジュニア全日本で輝かしい戦績を残して成人のカテゴリーに昇格した鶴田と、同世代でジュニア時代は大きな活躍はなかった宮沢のマッチアップは噛み合う好試合に。宮沢が本戦で左上段回し蹴りで効果(1ポイント)を得て旗判定5-0で勝利し、防具を外すと、長髪をなびかせた。
■2回戦
谷井 翔太(神奈川県 横須賀市 36才)vs佐々木 翼。本戦でニーインベリーからのキメ打撃で効果(1ポイント)を得た谷井が、さらにアキレス腱固めで一本勝ち。
佐々木 虎徹(東京都 豊島区 22才)vs佐々木 惣一朗(宮城県 仙台市 22才)。続々、佐々木姓の選手(血縁関係なし)が出場し、佐々木対決。本戦で虎徹に副審の旗3本が上がるも、主審・副主審が引き分けを支持。延長、虎徹が左のカウンター膝蹴り(いわゆるテンカオ)を効かせ、右ストレートで効果を奪い勝利。
伊東 宗志vs遠藤 春翔。遠藤の持ち味であるハイスピードの上段回し蹴りを伊東はスウェイでかわし、左掌底、左ボディアッパーを交えたパンチ連打で畳みかける。本戦は伊東に副審の旗3本が上がるも、主審・副主審が引き分けを支持。延長、パンチ連打で効果を2回(2ポイント)を得た伊東が勝利。
宮沢 琉伊vs曽山 遼太(大阪府 岸和田市 26才)。打撃、投げ、寝技…と全面的に支配した曽山が本戦旗判定5-0で勝利。
■準決勝
谷井 翔太vs佐々木 虎徹。本戦、谷井がマウントパンチで効果(1ポイント)を奪った後、襟絞めで一本勝ち。
伊東 宗志vs曽山 遼太。本戦は曽山に2本、伊東に1本副審が旗を上げ、副主審は伊東を支持。旗が2-2に割れ、主審は引き分けを指示。延長で伊東が旗判定5-0で勝利。両者譲らぬ蹴りと突きの交錯の末、伊東が1年前の全日本体力別決勝のリベンジを遂げた。
■決勝戦
谷井 翔太vs伊東 宗志。前後の出入りに加え、サイドステップを交え、重いパンチをヒットさせるのが持ち味の伊東に対し、谷井は蹴りの間合いか、ゼロ距離(クリンチからの膝蹴り、反り投げ)で闘い、パンチの間合いをつくらせない。クレバーなゲームコントロールで優位に立ち続けた谷井が延長戦旗判定4-1で勝利。
男子-250クラス
■1回戦
市川 忠樹(大阪府 守口市 41才)vs山田 崇太郎(東京都 中央区 42才)。山田は関東予選で関節技による一本勝ちを連発し、迎えたこの本大会初戦でも、1回目の寝技でアキレス腱固め、2回目の寝技で腕十字の形に入り、数々のサブミッションレスリング系競技において世界選手権優勝に至らしめた実力をみせつける。その関節技をタイムアップまで凌ぎ切った市川もまた、アメージング。腕十字に対し市川が立ち上がり山田の体を宙に浮かせ「待て」が掛けられた後も関節技を緩めなかったことで山田に「警告」が与えられ、市川に2本、山田に1本副審の旗が上がり、主審・副主審が市川勝利を支持。
■2回戦
中村 凌(愛知県 日進市 33才)vs芹澤 宗丸(千葉県 市川市 24才)。本戦、腕ひしぎ膝固めで中村が一本勝ち。
安藤 光志(宮城県 多賀城市 19才)vs佐藤 裕太(神奈川県 横浜市 22才)。本戦で佐藤に副審の旗3本が上がるも、副主審が引き分けを支持。主審が佐藤勝利を宣告。
藤田 隆(秋田県 秋田市 40歳)vs並木 仁也(東京都 千代田区 31才)。藤田の棄権により並木の不戦勝。
市川 忠樹vs鈴木 浩佑(静岡県 浜松市 36才)。首相撲からの膝蹴りでイニシアチブを握った鈴木が本戦旗判定5-0で勝利。
■準決勝
中村 凌vs佐藤 裕太。初戦における投げ技の着地時に肩を負傷した佐藤が棄権し、中村の不戦勝。
並木 仁也vs鈴木 浩佑。本戦は並木に2本、鈴木に1本副主審の旗が上がり、主審・副主審が引き分けを支持。延長、並木がいわゆるブラジリアンキック的な右上段回し蹴りで効果(1ポイント)を奪い勝利。
■決勝戦
中村 凌vs並木 仁也。中村は、並木の得意な蹴りの間合いを潰してパンチと組み技で攻める。本戦で右ストレートで効果を奪い、延長では、大外刈り→キメ打撃で効果を奪い、袈裟固めから太腿を枕にして腕を極める“大道塾クラシカル”な技、腕ひしぎ膝固め(スカーフホールド・アメリカーナ、Vクロスアームロック)で延長戦一本勝ち。小学生~高校生までに経験した柔道とボクシングの技術を存分に活かしたように思える展開だが、中村本人は「所属する日進支部の稽古において時間を割く移動稽古を積んだことで、バランスやフォームを整えられたことが勝因」と力説する。
男子-260クラス
■1回戦
水村 健太郎(東京都 豊島区 24才)vs伊藤 誉紀(秋田県 秋田市 31才)。右のパンチを浅く打った後の左フック、左ボディアッパーで巧みに攻める伊藤に対し、ニーインベリーからのキメ打撃で効果(1ポイント)を得た水村が本戦旗判定5-0で勝利。
水流 蒼太(福岡県 筑紫野市 21才)vs永見 竜次郎(愛知県 安城市 29才)。本戦でパンチ連打で効果(1ポイント)を得た永見が旗判定5-0で勝利。
■準決勝
麦谷 亮介(千葉県 市川市 39才)vs水村 健太郎。本戦で水村が旗判定5-0で勝利。
永見 竜次郎vs林 洸聖(長野県 佐久市 23才)。本戦で林が右ストレートで効果(1ポイント)を奪い、旗判定5-0で勝利。
■決勝戦
水村 健太郎vs林 洸聖。1年前の全日本体力別で右拳を骨折し決勝を棄権、秋の2025年アジア選手権を欠場していた林だが、今シーズンでの復帰後、臆することなく右拳をフルスイングし続け、この決勝でも、トータルファイターの水村に猛攻を敢行。延長戦旗判定5-0で、2024年以来の優勝を飾った。世界選手権でロシア人選手と対戦しようと、真っ向勝負で挑むと宣言。それもよいではないか。
男子260+クラス
■1回戦
吉永 柊晴(東京都 大田区 22才)vs高瀬 晴日(愛知県 日進市 21才)。スピードとフットワークに満ちた打ち合いの末、本戦で左フックで効果(1ポイント)を得た高瀬が本戦旗判定5-0で勝利。
■準決勝
石川 貴浩(愛知県 安城市 28才)vs山田 泰輔(宮城県 仙台市 31才)。本戦でマウントパンチで1つめ、右ストレートで2つめの効果(計2ポイント)を得た山田が勝利。
高瀬 晴日vs奈良 朋弥(青森県 青森市 36才)。本戦でまず、高瀬がパンチで1つめの効果、続いて奈良がパンチで1つめの効果、続いて奈良がパンチで2つめの効果、続いて高瀬がパンチで有効を奪い、計ポイント3-2で高瀬が勝利。
■決勝戦
山田 泰輔vs高瀬 晴日。本戦で高瀬がパンチ連打で効果を1つ、延長で山田が右ストレートで効果を2つ、有効(2ポイント)を1つ獲得する。一方で山田の準備遅延により高瀬に1ポイントが与えられる。さらに高瀬は延長で右ストレートにより有効を獲得。ポイント4-4の同点で、審判団の協議を経て山田に勝利が宣告された。2024年全日本体力別決勝では下段を効かされ上段回し蹴りで一本負け、今大会でもパンチで3ポイントを献上するなど、穴の多さを露呈した山田だが、朽木倒(ニータップ)的なテイクダウンなど、幅広い攻撃力をもっているだけに、今後に期待したい。
女子-220クラス
■1回戦
相内 春花(青森県 青森市 20才)vs横山 香織(東京都 豊島区 18才)。本戦で相内に副審3名の旗が上がり、副主審が引き分けを支持。主審が相内勝利を支持した。
廣田 晴香(大阪府 富田林市 29才)vs仙石 梨江(東京都 三鷹市 30才))。本戦は仙石に2本、廣田に1本、旗が上がり、主審・副主審が引き分けを支持。延長で仙石が旗判定5-0で勝利。
■準決勝
西田 美玖莉(愛知県 日進市 20才)vs相内 春花。本戦は西田に2本、相内に1本、副審の旗が上がり、副主審は西田を、主審は相内を支持。延長となり、本戦で相内に警告1(必然的に頸椎に大きな負担の掛かる投げ)があったため、両者ポイントなくタイムアップとなった時点で西田の勝利となった。
仙石 梨江vs小野寺 玲奈(北海道 帯広市 22才))。本戦で小野寺が投げからのキメ打撃で効果(1ポイント)を奪い、旗判定5-0勝利。
■決勝戦
西田が準決勝で頸椎を痛め、棄権。小野寺が優勝者となる。国際大会を迎える前に、国内女子空道界に、小野寺を脅かす好敵手が現れることを望みたいところ。「負けてしまうかも」と思える相手がたくさんいてこそ、選手はより努力を重ねられる。そういった相手に恵まれず、いきなり国際大会でロシアをはじめとする海外選手のフィジカルに身を晒すのは、避けたいところ。
第80回国民スポーツ大会
デモンストレーションスポーツ空道競技
U12~U18クラス ダイジェスト
U16男子58kg以下クラス。決勝で、佐藤 蓮太(宮城県 仙台市 15才)が藤代 天(新潟県 長岡市 15才)に腕十字で一本勝ち。
雑感
前列が各階級優勝者。左から小野寺、中川、谷井、中村、林、山田。後列は準優勝者。左から西田、並木、伊東、目黒、水村、高瀬。東孝賞を谷井が受賞。
U12~U18クラス優勝者。平塚賞をU18男子230以下優勝の木藤真阿(北海道帯広市)が受賞。
会場となったYSアリーナ八戸はスピードスケート場。1周400メートルのトラックの内側にコート2面が組まれ、試合が実施された。観客席となったスタンドまでの距離はかなりあったが、巨大な場内ビジョンで戦況が映し出されていた

会場入り口の案内板も、国スポの八戸市実行委員会が「空道競技」を「歓迎」する趣きで、通常の全日本選手権とはひと味違った

会場エントランスに掲げられたポスターは、当然、スピードスケート大会一色。

会場で出されたスピードスケートの記録がプレートに刻まれており、小平奈緒さん、高木美帆さんら、オリンピック金メダリストの名もあった。
総評
1981年に空道の歴史がスタートして以来、45年のなかで、240クラスは最高レベルの闘いが繰り広げられたといえよう。谷井、伊東、曽山、遠藤ら国際大会や全日本選手権で優勝経験のある選手と、佐々木(虎徹)をはじめとした、ジュニアカテゴリーから昇格して5年未満の世代の凌ぎ合いは、全12試合、どの試合も手に汗握る内容であった。これまでを振り返れば、凄まじい選手がいたり、感動的な試合があったりしても、いつの年もトーナメントの一角には「この選手は運よく出場権が巡ってきたのかな??」と思わせる選手がいたものだが、今大会の240クラスあたりは、選りすぐりの感があった。230クラスにしても、ナンバー2・ナンバー3の選手がともに準決勝でダウンを喫し、決勝で絶対王者もポイントを奪われて完敗し、新人が頂点に立ったことは、新陳代謝の活性化を思わせた。いずれ、すべてのクラスがそのような段階に入っていくのだろう。
空道は、キックボクシングやMMAなどのプロ格闘技と近似性をもちつつ、明確に異なる競技である。
プロ競技には、いわゆる実戦性で考えれば、実に効果的な技術であり、かつては競技の中核にあったのに、それが合法だと競技がつまらなくなるから、と反則にされたり、それをするより別のことをした方がポイントを取りやすい、といった理由で、今やほとんど試合中にみられなくなった技術がある。頭突きや、キックボクシング~ムエタイにおける回し蹴りのキャッチ(タイナー)や、MMAにおけるニーインベリーなどがそうだ。
それらの技術が活かされるルールを、武道としての矜持のもと、守り続けている空道の世界は、例えるなら、大陸では絶滅してしまった民族や生物が、変わらず活発に生を営んでいる離島のようなものか。その島に生きるもの特有の闘いの術があり、その文化・自然に美しさを感じる者が数多くいる……。島に生息する固有種が絶滅の危機に瀕するわけでもなく、一方で、大陸に出るのも自由であり、その島出身者ならではの闘いの技法を活かして大陸で活躍する者もいる。
この独自性をもつ武道が、国民スポーツ大会での競技実施というのひとつの目標を達成したことを喜ぶとともに、さらなる発展・安定を確信するところである。





























































































