今回の全日本無差別、昨年の全日本無差別優勝を機に引退を考えていた西尾勇輝が連覇を懸けて再びコートに帰ってくる。
西尾勇輝
春の全日本体力別の最重量級(260+クラス)王者・宮原譲はその全日本体力別で負った肩の脱臼の治癒に万全を期すためエントリーしておらず、昨年の世界選手権・最重量級(270+クラス)優勝の岩崎大河もMMA競技への取り組みに集中しているため欠場するが、昨年の全日本無差別で西尾と一進一退の攻防を繰り広げ場内を沸かせた2人の最軽量級(-230クラス)戦士、目黒雄太と佐々木龍希は今年も〝小よく大を制す〟無差別大会のロマンを求め、参戦する。
昨年、両者は30以上の体力指数差をものともしない華麗なテクニックで西尾と渡り合い、観客を味方につけたものの、自ら反則を犯してしまい、自滅するかたちで敗戦していただけに、リベンジなるか? 注目が集まる。
目黒雄太
佐々木龍希
空道では『体力指数差20未満だと、片方もしくは双方の選手が相手を掴んだ立ち技の状態で頭部と上肢、下肢による打撃がOK。体力指数差20以上30未満だと、片方もしくは双方の選手が相手を掴んだ立ち技の状態では頭部と上肢による打撃は禁止で下肢による打撃はOK(双方の選手に認められる)。体力指数差30以上だと、片方もしくは双方の選手が相手を掴んだ立ち技の状態では打撃は一切禁止』というルールが安全確保のために制定されているが、相手を掴んだ、あるいは相手に掴まれた状態でいかに打撃をヒットさせるかという点こそが空道という競技の妙味であり、その空道のアイデンティティーたる部分を磨いていればいるほど、掴みの攻防になった瞬間、反射的に打撃を繰り出してしまうのもやむを得ないようにも思える。
「試合によって正反対のアクションをすることを選手に要求すること自体に無理がある」という声も多い。
ただ、将来、ルールが改善されていくことを求めるにしても、現状、このルールであるかぎり、本当に今回の大会での勝利を望んでいるのであれば、このルールに対応できるよう『体力指数差20未満の場合』『体力指数差20以上30未満の場合』『体力指数差30以上の場合』それぞれを想定したスパーリングを積んで、それぞれの場合において相応しい動きがクセづくようにしておくことが、当然すべきことなのではないか、とも感じる。
ルールのせいにするな。
もし反則をしたら、それは対戦相手にも、闘いの場を用意した関係者にも、会場の観衆にも、YouTubeで中継をみている国内外の人たちにも、ただ単に失礼なのだ。
そのような見解があることを意識し、出場する選手には、抜かりない準備をしてほしいと願う。
以下、今大会注目の上記以外の出場選手を挙げる。
体力指数230以下では、全日本ファイナリストの小芝裕也、同じく全日本ファイナリストの経験をもち大道塾総本部寮生になったばかりの大西凜駿。
大西凜駿
体力指数240以下では、昨年の世界選手権-240クラス準優勝の曽山遼太。
同クラス2021、2024全日本優勝の谷井翔太。
同クラス2022全日本優勝、2024全日本準優勝の伊東宗志。
22年にU19全日本春秋2冠を達成し、その後、一般(北斗旗)にクラスアップした佐々木惣一朗。
2022秋季全日本U19 優勝、2023世界U19ベスト4の曽山隆聖。
-240クラスながら今大会の関東地区予選を制した佐々木虎徹。
曽山遼太のハイキック
体力指数250以下では、今春全日本-250優勝、鈴木浩佑。
2018世界選手権-240ベスト4、服部晶洸。
2018世界ジュニアU19唯一人の日本人優勝者、曽山智輝。
昨年の全日本無差別ベスト8の中上悠大朗、今春全日本-250準優勝の中村凌、2022全日本-250&アジア選抜-250準優勝の佐川太郎、2018全日本-250優勝の藤田隆。
寝技で空道ルールに適応した打撃を駆使する
鈴木浩佑
体力指数260以下では、今春全日本-260優勝の林洸聖、今大会の関東地区予選で準優勝した水村健太郎。
今春の全日本-260準優勝、2023世界選手権-260ベスト4の麦谷亮介。
体力指数260超では今春の全日本260+準優勝の山田泰輔。
関東地区予選でテイクダウンを奪う
水村健太郎
女子では、2023世界選手権優勝の小野寺玲奈、2018全日本優勝の大倉萌、2023世界選手権出場の小関沙樹。
大倉萌の右ストレートの打ち下ろし
すべての選手がルールを遵守した美しき闘いをみせてくれることを期待したい。
(文責・全日本空道連盟広報部 朝岡秀樹)