大会みどころ

各階級のみどころ

-230クラス

目黒雄太目黒雄太

大西凜駿大西凜駿

鈴木誠士鈴木誠士

田中脩斗田中脩斗

2015、2016、2017、2018、2019、2021、2022年、2024年と全日本‐230クラス8連覇を達成した目黒雄太のV9なるか? 

目黒は、全日本選手権の開催されなった2020年(コロナ禍のため)、2023年(世界選手権実施のため)も含めて考えれば、現時点で10年間階級別全日本の王座に君臨しているわけであり、45年間の北斗旗の歴史においてこのような選手は他に誰もいない。

一方で、半年前の全日本無差別準決勝において、自身より23キロ重い、体重90キロの西尾勇輝の上段回し蹴りを浴びて一本負けを喫し、担架で場内を後にして以来の復帰戦であること、32歳という年齢から考えて、今回こそ、押し寄せる後進の波に彼が呑み込まれるのではないかという懸念もある。

今大会では、ここ数年、目黒と常にトップを争ってきた佐々木龍希が、今年に入って父である佐々木亮一・大道塾小樽支部支部長が急逝したことに伴い支部運営を引き継ぐことになったため欠場するが、それでも目黒包囲網は厳しい。

4歳からの空道歴と、高校レスリング競技実績をもち、2021年に18歳で目黒と全日本の決勝を争い、その後、大学生時にはキックボクシングやMMAにも取り組み、大道塾総本部内弟子となり、佐々木とも名勝負(http://www.youtube.com/watch?v=M_XRJ12eZPE)を繰り広げてきた大西凜駿(22歳)。半年前に佐々木と旗の割れる試合を演じ、今大会の東北予選を制している鈴木誠士(20歳)。全日本ジュニア制覇を経て北斗旗に挑む柵木来斗(18歳)&山田凌雅(22歳)。昨年の全日本体力別での佐々木との準決勝判定で旗を1本得て連盟強化選手ランクBに選出された田中脩斗(21歳)。10代~20代前半の挑戦者たちは、この1年間の間にも、見違えるような成長を遂げていることだろう。

いつか敗れた目黒が「これで試合は最後にします」と語り、観る者が「もっと眼に焼きつけておけばよかった」と後悔する瞬間がやってくるのかもしれないが、それが今回とならない保証はない。

-240クラス

谷井翔太谷井翔太

伊東宗志伊東宗志

佐々木惣一朗佐々木惣一朗

佐々木虎徹佐々木虎徹

前回(2024年)優勝の谷井翔太(34歳)、前々回(2022年)優勝の伊東宗志(28歳)、円熟の時期を迎えつつある両者が再び決勝で相まみえるか? 何度となく対戦している両者、サイドステップを交え中間距離を保って硬いパンチを浴びせるスタイルの伊東に、MMAプロ競技でもキャリアを重ねる谷井が、距離を潰して密着し「塩漬け」にする展開で連勝を収めている。同じ轍を踏まないために、伊東がどんな戦略をみせるか、その点に注目したい。

しかし、両者が再戦するためには、全日本ジュニア優勝経験をもつを佐々木惣一朗(21歳)&曽山隆聖(20歳)、半年前の全日本無差別でベスト8入りを果たした佐々木虎徹(20歳)、2023世界ジュニアU19 ベスト4の佐々木翼(19歳)、今大会関東地区予選を制した藤澤純也(21歳)ら、新世代のスピードをねじ伏せることが必要な条件となる。

一方、3年連続U19 全日本優勝のパーフェクトスコアを残し、成人のカテゴリーに昇格するや2018世界選手権でジョージアのパワーファイターと対戦、その後2023ヨーロッパ選手権優勝、2023世界選手権準優勝、2024ユーラシアンカップではロシア代表と鎬を削り3位と、国際大会で活躍しながら、全日本では決勝進出の経験のない曽山遼太(25歳)には、一度はエベレスト(世界の頂点)より美しい富士山(日本の頂点)からの眺めを味わってほしいところ。

-250クラス

鈴木浩祐鈴木浩祐

中上悠大朗中上悠大朗

服部晶洸服部晶洸

熊谷慈英熊谷慈英

昨年(2024年)、初出場ながら優勝を果たした鈴木浩祐は、大きな衝撃を与えた。空道全日本選手権の出場権を得る選手は、大半が空道競技のための稽古を専門に行う団体・大道塾の所属選手だが、鈴木は大道塾外の団体の所属選手でありながら、柔道弐段とキックボクシングアマチュア全日本大会優勝の技術を活かし西日本地区予選から全日本決勝まで全勝を遂げたのだ。  

鈴木の連覇を阻む壁としては、昨年全日本ジュニアU19-250優勝を果たし18歳ながら北斗旗(成人の全日本)出場を認可された熊谷慈英、今大会よりクラス変更する服部晶洸(2018世界選手権-240クラス3位)、昨年の全日本で同年同階級の世界選手権4位の寺阪翼をノックアウトし、鈴木と決勝を争った中村凌、今大会の各地区予選、西日本を制した曽山智輝、関東を制した佐藤裕太、九州を制した山本英貴……らが挙げられるが、ラスボスともいえるのは、ジュニア全日本~北斗旗を通じファイナリストになった経験がなかったにもかかわらず、半年前の全日本無差別でいきなり開花し、21歳にして日本空道の頂点に立った中上悠大朗だろう。無差別大会において身体指数が20以上上回る相手をも制した中上のスピード&パワーが、対戦する全選手を圧倒する可能性も低くはない。

一方で「安全面で考えて、北斗旗(一般の全日本)には出場年齢制限を設け、一定の年齢以上の選手はシニア~マスターズのカテゴリーのみへの出場を認可する」という大会規定案が審議されている現状、平田裕紀飯田諭ら40代のベテランたちには「そんな配慮は必要ないよ!」と咆哮するかのような進撃を期待したくもある。

-260クラス

林洸聖林洸聖

麦谷亮介麦谷亮介

永見竜次郎永見竜次郎

水村健太郎水村健太郎

昨年、21歳でこの階級の頂点に立った林洸聖は、その半年後の全日本無差別において、優勝した中上悠太朗と準々決勝で対戦し、延長で効果ポイントを奪われ敗れたとはいえ、本戦では優勢に試合を進めていた。中上が「勝ってない。リベンジしたい」と振り返ったことが、その実力を証明しているといえよう。

その林と昨年、この階級の決勝を争った麦谷亮介は、2023年世界選手権-260クラス4位ながら、全日本を制した経験がないだけに、リベンジ達成に燃えていることだろう。ミドルキックで距離を取り、近づけば首相撲で間合いを潰す麦谷と、重いパンチでラッシュを掛けるトラディショナルな北斗旗スタイルの林、好対照な二人の間合いの制し合いに注目したい。

二人の間に割って入るとすれば、キックボクシングとブラジリアン柔術の経験を経て、早稲田大学の空道サークルに入門後、あれよという間に頭角を現した新鋭・水村健太郎か。6歳から空道一筋の林と同じ22歳ながら、歩んできた道がまったく異なるだけに、林vs水村が実現しても、また面白い。この他では半年前の2024年全日本無差別で麦谷を破り、連盟強化選手ランクBに選出された永見竜次郎のパワフルな右クロスも侮れない。

+260クラス

奈良朋弥奈良朋弥

松岡陽太松岡陽太

2019年、2021年と全日本+260クラスを連覇(2020年はコロナ問題により大会中止だったため実質、2018年世界選手権後の3年間全日本王座を維持)しながら、2022年に、全日本+260クラス決勝で岩﨑大河に敗れ、さらにアジア選抜-270クラスで西尾勇輝に敗れ、その結果、2023年世界選手権ー270クラス日本代表の座を逃し、リザーバーとはなったものの出場機会が巡ってこなかった奈良朋弥が、今大会東北予選を制し、復帰を果たした。悪夢のような2022~2023年のことを、後に振り返ったときに「良き経験になった」と語れるよう、今大会から次回世界選手権までを駆け抜けてほしいところ。

対抗馬となるのは、強豪校の高校柔道部を経て大道塾総本部寮生の経験があり、打撃のフォームや速さにも重量級らしからぬものをもつ関東地区予選優勝者、松岡陽太か。

女子ー220クラス

小野寺玲奈小野寺玲奈

西田美玖莉西田美玖莉

2023年に日本人女子初の世界選手権王者となった小野寺玲奈が、昨年2024年に続き連覇を達成するか?

2022年全日本決勝では小野寺を下しているトップコンテンダー・大倉萌は、現在の男子空道の頂点に君臨する岩﨑大河と結婚したばかりということもあって、今大会は欠場。小野寺の独走となる可能性もあるが、昨年2024年の全日本ジュニアU19-215クラスで、前年度2023年優勝の遠藤すず、全日本ジュニア優勝4回の相内春花を連破し頂点に立った新星、西田美玖莉が初の北斗旗(成人の全日本)挑戦でどこまでやるか?2024年全日本無差別で決勝進出、小野寺に食い下がり準優勝した仙石梨江がこの半年の成長ぶりをみせるか? にも注目したい。