大会レポート

文責:全日本空道連盟広報部・朝岡秀樹
写真:全日本空道連盟広報部 はいチーズ!フォト

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2025全日本空道体力別選手権大会 全試合ダイジェスト

男子-230クラス

■1回戦

巻礼史(青・大道塾筑紫野支部)vs柵木来斗(大道塾西尾支部)。巻が朽木倒(ニータップ)から腕ひしぎ膝固め(Vクロスアームロック)を極め掛け、本戦旗判定5-0勝利。「一定年齢以上の者は北斗旗に出場出来ぬよう制限を設けるべきか」が論議されている昨今だが、54歳の巻が2023全日本U19-220優勝・2024全日本U19 -220準優勝、18歳の柵木に完勝した事実は、何かを訴えるだろうか?

山田凌雅(青・大道塾仙台東支部)vs久保浩平(大道塾総本部)。諸手背負い、ニーインと組み技で支配した山田が本戦旗判定5-0勝利。

■2回戦

ソムチャイ・ ヌアナー(青・大道塾札幌西支部)vs田中脩斗(大道塾日進支部)。引込返など、組み技の冴えるソムチャイに対し、パンチで攻め大腰で投げた田中が本戦旗判定5-0勝利。

巻礼史(青・大道塾筑紫野支部)vs大西凜駿(大道塾総本部)。大西がマウントパンチで効果を奪い、立ち技での猛攻で巻を戦意喪失に追い込み一本勝ち。

山田凌雅(青・大道塾仙台東支部)vs目黒雄太(大道塾長岡支部)。目黒は投げられながら襟を持った側の腕を首に巻き、脚を掛けて絞め(片手絞、カントチョーク)でタップを奪う。柔道・柔術の経験のないフォトグラファーは、たいていこのタイプのフィニッシュにシャッターを切らずに時を過ごしてしまう。この状態が頸動脈の血流が止められている局面であることに気づけないのだ。

鈴木誠士(青・大道塾三沢支部)vs月東玲真(大道塾草加支部)。打ち合いに気を引いておいてタックルを決める月東だが、絞め・関節技を極めるには至らず。本戦、副審の旗は月東に2本、鈴木に1本挙がり、副主審・主審が鈴木勝利を支持し、打撃でリードした鈴木の辛勝。

■準決勝

田中脩斗(白・大道塾日進支部)vs目黒雄太(大道塾長岡支部)。昨年に続き準決勝進出の田中、目黒特有の巻き込み系の腰車(首投げ)を再三に渡り凌ぐが、明確にリードを印象づける攻撃には至らず。本戦で両者ポイントなく、副審3名は目黒勝利を支持、副主審は引き分け妥当と判断したが、主審は目黒勝利を宣告した。

鈴木誠士(白・大道塾三沢支部)vs大西凜駿(大道塾総本部)。大西は左右のハイキックで鈴木を脅かし、タックルでテイクダウン。鈴木はパンチで前に出て、首相撲からの膝蹴りをヒットする。本戦で両者ポイントなく、副審3名は大西勝利を支持、副主審は引き分け妥当と判断したが、主審は大西黒勝利を宣告した。

■決勝戦

過去、何度もKOを奪ってきた目黒雄太(白)の右ハイをダッキングで躱すなどアクロバティックなアクションをみせる大西は、逆にハイキックをヒットさせる。しかし目黒はそのハイキックにたじろぐことなく掬い上げて崩したり、首投げを潰されるとそのまま前転して脚を捕らえるなど、思い通りにならなかった展開を最終的には好転させる強引さをみせ、試合が進むにつれ、大西を疲弊させていく。延長戦終盤にはマウントパンチで効果を奪い、勝負あり。かつて21歳で全日本初制覇を果たした目黒も(いつのまにか)32歳となり、今回、目黒に挑んだのは22歳の山田、21歳の田中、23歳の大西と、10歳前後年下だ。一昨年の世界選手権、昨年の全日本の決勝を争った相手であり、父である佐々木亮一・大道塾小樽支部支部長の急逝により、支部長を継ぐこととなり、今季は試合出場しなかった佐々木龍騎も21歳であり、遠からず競技復帰し目黒を脅かすであろう。この挑戦者たちが〝自分が小学生だった頃から頂点に君臨し続けている王者〟を打ち負かす日は、いったいいつやってくるのか? まだまだ遠い先のような気もする。

男子-240クラス

■1回戦

佐藤潤平(白・大道塾草加支部)vs曽山隆聖(大道塾岸和田支部)。2023年の世界ジュニア3位の曽山に対し、佐藤は諸手背負い、巴投げなど、綺麗な投げを決めるが、曽山はキメ打撃や絞め・関節技を狙えるポジションを取らせない。本戦では副審二人が佐藤、一人が曽山に旗を上げ、副主審・主審が引き分けを支持し、延長へ。延長でも寝技2回をガードワークで潰し、打撃でイニシアチブを握った曽山が、延長旗判定4-1で勝利。

庭山直人(青・大道塾長岡支部)vs佐々木惣一朗(大道塾仙台東支部)。本戦は庭山に2本、佐々木に1本、副審の旗が上がり、延長戦で佐々木がニーオンベリーからのキメ突きで効果を奪い、劣勢を挽回し勝利。

■2回戦

谷井翔太(白・大道塾横須賀支部)vs佐々木惣一朗(大道塾仙台東支部)。いわゆるスーパーマンパンチで一つ目、投げからのキメ突きで2つ目、亀状態へのキメ突きで3つ目の効果を奪った谷井が本戦で勝利。

藤澤純也(青・大道塾横須賀支部)vs曽山遼太(大道塾岸和田支部)。2004年、2005年に全日本ファイナリストとなった(-260クラス)藤沢雄司を父親に持つ藤沢からマウントパンチで効果を奪い、本戦旗判定5-0で勝利。

曽山隆聖(青・大道塾岸和田支部)vs佐々木虎徹(大道塾総本部)。長い距離で上段前蹴りを放つ佐々木。踏み込んで右フックをヒットさせる曽山。互いにテイクダウンも奪うが、佐々木が本戦旗判定5-0で勝利。

伊東宗志(白・大道塾日進支部)vs佐々木翼(大道塾高尾支部)。2023年、世界ジュニアでベスト4、2024年全日本ジュニアでファイナリストとなった佐々木はビクトル投げ的な投げ技から膝十字固めを仕掛けるが、伊東はそれを凌ぎ、次に佐々木が投げを仕掛けてきた際には、投げられつつ片羽絞めでカウンター。タップを奪い、経験の差をみせつけた。

■準決勝

伊東宗志(白・大道塾日進支部)vs佐々木虎徹(大道塾総本部)。燕返し的なタイミングの下腿部への蹴りで伊東を転倒させ、副審一人に旗を上げさせるなど、蹴り技で佐々木が攻勢だったが、寝技にもつれ込んだ際に、伊東が襟を取り、絞め技で一本勝ち。隙を逃さぬベテランの巧みさをみせつけた。

谷井翔太(青・大道塾横須賀支部)vs曽山遼太(大道塾岸和田支部)。両者、ハイキックなどの攻防では隙なく均衡を崩すに至らず、谷井が得意の密着戦に引きずり込もうとするも、曽山はこれを切り、寝技に持ち込ませず。本戦、副審3名は曽山に旗を上げ、副主審は引き分けを支持し、主審の裁定次第で延長戦となる状況、主審は曽山の本戦勝利を宣告した。

■決勝戦

4歳で空道をはじめつつジュニア競技では実績がなく、大人になってから少しずつ実績を上げ、2022年以降3大会連続で全日本ファイナリスト(うち1回優勝)となった伊東宗志・28歳と、小学校中学年で空道の道に入り、以降、U19(≒高校生大会)3年連続全日本優勝など将来を嘱望される成績を収めつつ、北斗旗では、この日に至るまで全日本決勝に駒を進めることが出来なかった曽山遼太・25歳。それぞれ、異なるタイミングで停滞期と栄光の日々を経験してきた両者が、かつての自分たちのような19~21歳の「ジュニア上がりたて」の後輩たちを退けて迎えた決勝。持ち味であるパンチ勝負に懸ける伊東に対し、曽山はジュニア時代からの得意技である多彩な蹴り技のキレはそのままに、近距離での打ち合いでも引かず、投げも決めてみせてみせる。延長旗判定で、すべての審判が曽山勝利を支持。初優勝を果たした曽山は天を見上げた。

男子-250クラス

■1回戦

佐藤裕太(青・大道塾横浜北支部)vs山本英貴(大道塾筑紫野支部)。山本が先に投げからのキメ打撃で1ポイント(効果)を奪うが、佐藤が左フックで1ポイントを奪い返し、本戦旗判定5-0で勝利。

曽山智輝(青・大道塾岸和田支部)vs三鬼裕太(大道塾御茶ノ水支部)。華麗な打撃は持ち合わせていないものの全局面で隙のない試合ぶりをみせる三鬼に対し、キレのある打撃をヒットさせた曽山四兄弟の次男、智輝が本戦旗判定5-0で勝利。

飯田諭(青・大道塾大宮西支部)vs市川忠樹 (大道塾北河内支部)。世界選手権日本代表リザーバー(補欠)となった経験をもつ飯田のレバーに前蹴り(いわゆる三日月蹴り)を刺した市川に副審の旗3本が上がり、副主審は飯田に旗を上げたが、主審は市川勝利を宣告。

平田裕紀(白・大道塾東中野支部)vs熊谷慈英(大道塾仙南支部)。2022シニア全日本重量級優勝の平田と、2024U19全日本優勝(-250クラス)優勝の熊谷の対戦。シニアから〝降りてきた〟者と、ジュニアから〝昇ってきた〟者、45歳と18歳の闘いは、フルコンタクト空手出身者ならではの重いローキックと、ジュニア競技出身者ならではのハイキックが交錯する展開となったが、一方で、熊谷は右フックで1ポイントを獲得し、一方の平田も寝技技術を駆使し、空道ルールへの適応ぶりをみせた。巧みな支釣込足をみせた熊谷が本戦旗判定5-0で勝利したが、熟年層もティーンも同じ土俵で闘える、競技としての面白さをアピールした点で両者が勝者ともいえよう。

■2回戦

曽山智輝(青・大道塾岸和田支部)vs服部晶洸(大道塾横浜北支部)。今大会より階級変更した2018世界選手権-240クラス3位の服部は、引き込みからフックスイープで上を取り、腕十字を極め掛けるなど、攻勢を維持し本戦旗判定5-0で勝利。

中上悠大朗(白・大道塾総本部)vs市川忠樹(大道塾北河内支部)。立ち技での掴み打撃と、投げからのキメ打撃でそれぞれ1ポイントを奪った中上が本戦勝利。

中村凌(青・大道塾日進支部)vs佐藤裕太(大道塾横浜北支部)。昨年、このカテゴリーで寺阪翼をノックアウトし、決勝進出を果たした中村が的確なフックで1ポイント(効果)を奪取すれば、2022U19全日本優勝(-250クラス)の佐藤がハイキックで1ポイントを奪い返すシーソーゲーム。中村がフックで2つめの効果を得て、本戦勝利を決めた。

鈴木浩佑(青・小杉道場)vs熊谷慈英(大道塾仙南支部)。スピードと伸びのある蹴り技で勢いずく熊谷を、昨年のこのカテゴリーの王者・鈴木が、下段蹴りや寝技での大腿部へのヒジ打ちなど〝地味だが痛い〟技で削っていく展開。副審の旗は熊谷に1本、鈴木に2本上り、主審・副主審は鈴木を支持。

■準決勝

中村凌(青・大道塾日進支部)vs中上悠大朗(大道塾総本部)。中村は右ストレートから左フックの返しをキレイなフォームで放ち、腰の重い中上を内股で浮かせるなどするが、中上は右のオーバーハンド、ジャンプしての右ストレート(いわゆるスーパーマンパンチ)で圧力を掛け、本戦旗判定5-0で勝利。

鈴木浩佑(青・小杉道場)vs服部晶洸(大道塾横浜北支部)。服部が膝十字固めを極め掛ければ、鈴木は袈裟固めからの腕固めを狙う。本戦では副審・副主審の旗が白2本青2本に割れ、引き分けの裁定。延長でも旗が割れ、着実に下段を決めた鈴木に3本、タックルでテイクダウンを奪った服部に1本の旗を獲得。主審が鈴木勝利を告げた。

■決勝戦

昨年無差別全日本を制した中上悠太朗(白)が、右フックによる効果を2つ奪取。鈴木浩佑に本戦旗判定なしの完勝を収め、優勝を決めた。しかし、鈴木も寝技で関節技を狙うなど、ワンサイドの展開は許さず。昨年の優勝がフロックではなかったことを証明した。

男子-260クラス

■1回戦

永見竜次郎(白・大道塾安城同好会)vs稲葉竜児(大道塾仙台東支部)。稲葉がニーインベリーからのキメ打撃で1ポイントを奪い、腕十字を極めるが、永見は耐え抜き、右ストレートでの効果を2回奪い返し、本戦で逆転勝利。偏って組み技の強い稲葉と、偏って打撃の強い永見の組み合わせによって生じたシーソーゲームもまた、空道ならではの展開といえよう。

水村健太郎(青・大道塾総本部)vs水流蒼太(大道塾筑紫野支部)。水村が、掴んでの膝蹴り連打、右フック、マウントパンチ、右ストレート、右ハイキック、左ストレート、右ストレートでそれぞれ効果を奪い、7ポイントを獲得したところで、主審判断で試合続行不能の裁定となった。前拳の強打をジャブとみなさず、効果と認定したことは、妥当な判断だと感じた。

■準決勝

水村健太郎(青・大道塾総本部)vs麦谷亮介(大道塾行徳支部)。関東地区予選決勝で両者は対戦し、その際は、パンチで水村が効果を奪い、優勝を収めていた。今回の再戦では、右ボディ―ストレートやミドルキックで距離を維持しての闘いをキープした麦谷に2本、水村に1本、副審の旗が上り、主審・副主審が麦谷勝利を支持し、麦谷のリベンジが達成された。

林洸聖(大道塾長野佐久道場)vs永見竜次郎(大道塾安城同好会)。打ち合いの中で林がフックで永見をグラつかせ効果を奪い、本戦旗判定5-0勝利。しかし、永見も伸びのある右ストレートをヒットしていた。永見の右ストレートには独特の伸びがあり、愛知県は日本拳法の盛んな県でもあることから、その経験者なのかと思い訊いてみたところ、空道以外に格闘技の経験はなく、スポーツ歴は野球のみとのこと。野球やハンドボールなど、投動作が重要な競技の出身者は、強いストレートを打つケースが多い。

■決勝戦

永見戦で右拳を骨折した林洸聖が棄権し、麦谷亮介の優勝が決定。昨年の決勝もこのカードであり、林が打ち合いを制して優勝していただけに「闘いたかった。闘って勝って優勝したかった……」と麦谷は悔しがった。

男子260+クラス

■リーグ戦

渡邊篤史(青・大道塾岸和田支部)vs奈良朋弥(大道塾青森支部)。奈良が右パンチで効果を奪えば、渡邊が右パンチで効果を奪い返し、再び奈良が右パンチで効果を奪えば、渡邊もまた右パンチで効果を取り返す……というド迫力のぶん殴りあいの末、奈良4ポイント、渡邊2ポイントで本戦終了となり、奈良が勝者に。

渡邊篤史(青・大道塾岸和田支部)vs松岡陽太(大道塾大田支部)。試合開始早々、体落でテイクダウンを奪い、ニーインベリーからのキメ打撃で効果を得た松岡は、流れるように脚を取っての片手襟絞め(いわゆるボーアンドアローチョーク)でタップを奪った。

奈良朋弥(大道塾青森支部)vs松岡陽太(大道塾大田支部)
奈良が渡邊戦で右拳を骨折したため棄権。リーグ戦で松岡が2勝、奈良が1勝したかたちとなり、松岡が優勝者扱いとなった。素面の頭蓋骨を素手で殴った場合も、おそらく面のプラスチック部分を拳サポーターで殴った場合と同様か、それ以上に、拳には衝撃が加わるであろう。もちろん、避けようのない偶発的な機序による負傷もあろうが、現実的な闘いにおける強さを求めることが空道を嗜む理由であるならば「拳を鍛えて、壊れないようにする」「拳が壊れないようなタイミングや当て位置を確保したうえで強打することを心掛け、やみくもに強打しない」などの努力を怠らないことは責務といえよう。

女子-220クラス

■1回戦

廣田晴香(青・大道塾富田林同好会)vs相内春花(大道塾青森支部)。ジュニア全日本優勝4回、2018世界ジュニア優勝の相内が北斗旗デビューを果たし、問題なく成人のルールへの適応をみせるが、廣田も組んでの頭突きで迎撃。本戦で副審の旗は廣田に2本、相内に1本上がり、副主審は引き分けと判断するが主審が廣田を支持し、廣田の勝利となった。

■準決勝

仙石梨江(青・大道塾総本部)vs西田美玖莉(大道塾日進支部)。体力指数差が20あり、掴んでのパンチや頭突きが禁止のルールで試合が実施されたが、仙石は掴むと反射的にパンチを出してしまい、警告を受ける。昨年2024U19全日本を制し、今大会から北斗旗(一般の全日本)にカテゴリー昇格した西田は、バランスの崩れない出入りのフットワークから、コンパクトに右ストレートをヒットし本戦旗判定5-0で勝利。試合前に審判がルールの確認に時間を要したことなども含め、あらためて体力指数差が大きい場合の組んだ状況での打撃制限ルールに関しては〝いろいろな面で難しいな〟ということを感じた。

廣田晴香(青・大道塾富田林同好会)vs小野寺玲奈(大道塾帯広支部)。2023世界選手権、2024全日本を連覇した小野寺は、内股で投げて、キメ打撃で一つめ、寝技に移行し、マウントパンチで二つめ、右ハイキックで三つめの効果を奪う。その後も、頭突き、小外刈りでのテイクダウンと、多彩な技を流れるように決め、本戦勝利。

■決勝戦

小野寺玲奈(白)、西田美玖莉ともに、軸のぶれないフットワークからジャブと前足でのインローで探り合うテクニカルな展開。右フックで一気の間合いを詰めた小野寺は、内股から大内刈りへと前後に崩し、テイクダウンを奪うと、ハーフガードに持ち込もうとする西田の脚を捌き、ニーインベリーからのキメ打撃で効果を奪うと、腕絡み(いわゆるキムラロック)でタップを奪う。1分弱で勝負を決めた。

全日本空道シニア選抜選手権大会 決勝ダイジェスト

■マスターズクラス

かつて北斗旗で上位入賞を果たし現在は高齢である選手、シニア全日本選手権で上位入賞を重ねた選手によるカテゴリー「マスターズクラス」。今大会では軽量でワンマッチ、重量で3名による巴戦、と2カテゴリーで実施され、軽量では2014・19・21・22年シニア全日本軽量級優勝、昨年2024年よりマスターズに転じワンマッチで勝利を収めた糸永直樹(青・大道塾草加支部)が、水野栄治(多賀城支部)からマウントパンチで効果を奪い、本戦旗判定5-0勝利。

重量級ではバック肘などトリッキーな攻撃で新出勝冶(大道塾行徳支部)を本戦旗判定4-1で下した中村竜太郎(青・大道塾小岩支部)が優勝

■軽軽量級

宮城護(青・大道塾関西宗支部)×藤田貴章(大道塾総本部)。本戦旗判定4-1で宮城が優勝。

■軽量級

桐田淳利(青・大道塾仙南支部)×菅剛志(大道塾横浜北支部)。桐田が諸手背負い投げからキメ突きで効果をひとつ奪い、菅が右ストレートで効果を2つ奪い返し、菅が本戦で勝利し、優勝。

■軽中量級

平石哲也(青・大道塾行徳支部)×山本隆人(大道塾横浜北支部)。平石が右肘打ちで効果を奪い、本戦旗判定5-0で勝利し、優勝。

■中量級

杉本博文(青・大道塾御茶ノ水支部)×吉本琢也(大道塾三鷹道場)。本戦で杉本が右フックで吉本から一本勝ちし、優勝するとともに平塚賞(全日本シニアにおけるMVP的な賞)を受賞。これまで北斗旗に出場していた杉本は、45歳を迎えた今年、初めてシニア部門に参戦し、決勝で相手をノックアウトしたわけだが、この結果をもって「まだシニアにエントリーするには強すぎる」と評されるようであれば、やはり北斗旗に定年制を導入するとしても、50歳くらいまでは出場を認めるべきということか?

■軽重量級

外山博(青・大道塾三鷹道場)×江本孝弘(大道塾広島中央支部)。本戦旗判定4-0で江本が勝利し、優勝。

■重量級

宮崎弘人(青・大道塾つくば同好会)×河野賢(大道塾御茶ノ水支部)。本戦で宮﨑が右フックで2回、効果を奪い勝利し、優勝。

■超重量級

川原剛(青・大道塾春日支部)×岡田貴典(大道塾富田林同好会)。本戦旗判定4-1で岡田が勝利し、優勝。

雑感

北斗旗入賞者。上段は各階級優勝者。左から小関沙樹(女子220+クラス)、小野寺、中上、目黒、曽山、麦谷、松岡。下段は準優勝者。左から西田、鈴木、大西、伊東、林。小関は女子220+クラスのエントリーが1名のみだったため、試合なしでの優勝となったが、やはり本人は「階級を統合して試合させて欲しかった」とのこと。全日本選手権が国際大会の日本代表選考にかかわる大会であることや、安全面への配慮を考えれば、たとえ少人数で争うカテゴリーが生じようと、国際大会のカテゴリー分けに従って、競技を実施することが相応しいと考えられる。また、カテゴリーの体力指数リミットに合わせて減量を進めていた選手に、数週間前なり当日なりに「体力指数が10上のクラスと統合してトーナメントを組むことになりました」と告げるようなことがあってはならないだろう。一方で、各国のナショナル大会においては、状況によって、層の薄い女子や男子重量級のカテゴリーを統合して競技を実施し、割り当てられた国際大会への出場枠は、統合したカテゴリーの入賞者から柔軟に振り分けることで埋めてもよいのではないか、とも思う。

2025全日本空道体力別選手権大会の最優秀勝利者には目黒が選出され、長田賢一・全日本空道連盟理事長から、北斗旗が授与された。