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2021.11.28 全日本空道シニア選抜選手権大会リポート

2021/12/20

2021年11月28日(日)、東京都新宿区・新宿スポーツセンターにて開催された今大会、コロナ問題が収束していない状況での開催ゆえ、無観客で、客席のない競技場で開催されたが、北は北海道、南は九州から集まった45名が「身長(センチ)+体重(キロ)−年齢」の数値によって分けられる6つのカテゴリーでみせた闘いは、例年と比べて、むしろより熱く感じられるほどの激戦の連続であった。

軽量級決勝は、前回大会、2019年決勝と同一カード、糸永直樹(大道塾草加支部)vs水野栄治(大道塾多賀城支部)の再現となった。コロナ問題により、昨年2020年にはシニアクラスの全日本規模の大会が開催されなかっただけあって、両者とも頂点での再会を楽しむかのようにハイスパートで打ち合う様が印象的だった。延長の末、糸永がバックマウントからのパンチ連打で効果ポイントを得て、V2達成を遂げた。

軽量級決勝。糸永の前蹴りがレバーを捕らえる。俗にいう「三日月蹴り」だ

52歳にして、華麗なステップで左膝を突き刺す糸永。打撃戦で翻弄しつつ……

隙をついてテイクダウンを奪うや、バックマウントで制圧。空道の教科書的な展開をみせた

軽中量級は、初戦から決勝まで、すべての試合で右ストレートで効果や有効のポイントを奪った宮澤敏彦(大道塾札幌南支部)がV。シニア大会においては、本来的には、年齢を重ねた者同士だからこその「いぶし銀の」「老獪な」「匠の技の」闘いが展開されることが理想のように思えるが、実際には、一般クラスより試合時間が短く、一方で拳や脛をサポーターで覆ったうえに顔面防具を着用しているが故に顔面への打撃が「効かない」ことをいいことに、ひたすらフックの連打を打って突進し続けるスタイルの選手が多い。そんな中で、ストレ―トを的確に放ってポイントを挙げる宮澤のスタイルは賞賛に値するように思えた。

 


軽中量級決勝。相手の蹴りに合わせた宮澤の右ストレート

 

中量級決勝では、柔道参段の柊嘉実(大道塾川崎支部)が、吉永直樹(大道塾大田支部)を再三投げ伏せ、多摩川を挟んで東西の近隣対決を制した。吉永は2018・2019年に続き、3大会連続の全日本準優勝。来年こそは悲願の優勝成るか? またひとつ、シニア大会ウォッチャーの楽しみが増えた。


中量級決勝。柊の豪快な首投げ(腰車)が決まる

軽重量級は、極真空手で国際大会に出場、空道では2019シニア全日本準優勝の実績をもつ辻一磨(大道塾小岩支部)が、マウントパンチで小川哲朗(大道塾筑紫野支部)から効果ポイントを奪い、決勝を制した。生前の東孝塾長が最後に認可した大道塾支部の支部長である辻にとっては、コロナ渦中にスタートした支部活動を発展させていくうえで、絶好の肩書きができたかたちだ。


軽重量級決勝。辻のマウントパンチ

重量級には、もともとフルコンタクト空手の全日本王者で、MMAにおいても秋山成勲と対戦経験がある外岡真徳(大道塾関西宗支部)が出場し、初戦は相手をパンチで圧倒し、主審判断による一本勝ち。「それほどの実績のある選手がシニア大会に出場することは規制すべきではないか」といった声があがるほどの強さをみせたが、準決勝で、平田裕樹(大道塾中野支部)に右パンチによる効果ポイントを奪われ惜敗。決勝では、その平田を延長で制した横山智樹(大道塾行徳支部)が2019年に続く連覇達成を果たした。


重量級決勝。平田の蹴りをキャッチし、テイクダウンを決めた横山


外岡の初戦。パンチの連打で効果を3つ奪った

超重量級では、三島博史(大道塾草加支部)が、小林俊也(大道塾横須賀支部)から右ストレートで効果を奪い、決勝を制した。


超重量級決勝。豪快な右アッパーを放つ三島(青)。

 

閉会式で長田賢一・現大道塾塾長は「素晴らしい大会だった。「『社会体育』を表現していただいた。一般の全日本選手権に出場する選手たちも、続いていけると、励みになると思います」と、コロナ問題下で、社会生活との折り合いをつけつつ、万全の対策のもと集まり「四十路、五十路、六十路の青春」を燃やしたオヤジたちに労いの言葉をかけた。なお、所属者の上位入賞をポイント換算し、その多寡によって選定する「成績優勝道場」は、1位:大道塾草加支部、同率2位:大道塾横須賀・湘南支部、大道塾行徳・東中野支部という結果となった。また、優勝者のうち、最多ポイントを獲得した糸永がMVPに選出された。


後列が優勝者。左から三島、横山、辻、柊、宮澤、糸永。前列が準優勝者。左から小林、平田、小川、吉永、森本、水野