長年の研究、試行錯誤を経て、昨年の北斗旗より披露され始まった空道約束組手=「空道定法(じょうほう)」。ご存知のように、設立以来、道場訓にもあるように「社会に寄与貢献するための“社会体育”としての武道」と「現実の場で身を守れる技術体系」に拘ってきた大道塾、空道には、いわゆる一人で行う“型”はありません。
しかしながら「型には二つの意味がある」 http://www.daidojuku.com/home/column/05.html でも述べられているように、少年・少女に「ルールに従うことを教える」意味や、高齢化社会に対応する意味での、老若男女が取り組める「闘いの現実に沿った、攻防の連続動作の制定」は設立当時からの課題でした。
初期の頃には北斗旗優勝者の創意、努力、実績を顕彰する意味で、従来からある“型”のように、一人で、但し「“組手立ち”で行う、一連の攻防動作」の創作を奨励していましたが“型”という、それまでの「打撃系武道」の歴史の中では巨大な分野でもあり、中々“挑戦”する者はおらず「大道塾、空道も“型”の意義は認めている」という考えは有名無実化していました。
そんな次第で「北斗旗」の歴史は20年の年月を経て、創生期の塾生たちも高齢化してきて、より一層その必要性が増してきました。そんな中で「単独ではなく、対人で考えた方が、より具体的で理解されやすいのでは?」という声が高まり、2013年、遂に、塾長からの指示を受け「第4回世界大会」記念として「空道約束組手」の制定が決議されました。
その後、高橋英明 大道塾全国運営委員長(国際・全日本空道連盟副理事長)を中心に、北斗旗の歴代優勝者からの様々な意見を検討検証、取捨選択をし、試行錯誤が始まり、遂に「第4回世界大会」で、その一端の公開されました。
大道塾が空道に至る「格闘空手」を提唱したときにも、当初は様々な賛否両論が巻き起こったものです。時代に先駆け過ぎたのかもしれません。それと同じくこの「空道定法」も今は、まだ浸透しているとは言えないかも知れませんが、今に必ず、時代が追い付いてきます。大道塾、空道の証言者としてぜひ見ていただきたいと思います。
今回は宮城県空道協会の支部長、師範、師範代 = 1. 熱海支部長+酒井(木町支部)2. コノネンコ+服部宏明(関西本部出身)3. 佐藤(繁)支部長+平塚洋二郎 4. 長田支部長+武山支部長 と言った、かつて北斗旗の歴史の中で一時代を築いた方々により演武されます。どうか、大会観戦に来て頂き、合わせてこのぜひ演武にもご注目頂きたいと思います。
『体力別大会』&『シニア大会』(両方略称)が1週間後に迫っているが、ここでトピックスを!!
去る4月24日、総本部に加藤久輝選手(安城同好会)が、近況報告を兼ねて塾長を訪ねてきて、尊敬する先輩の一人である稲垣拓一・総本部師範(6段)も交えて歓談を行った。彼はいま世界大会で戦うために大型選手との対決を求めてプロの試合に参戦しているのは周知のことだが、その試合にまつわる様々な経験やエピソードを話し、盛り上がった。焼き肉の量も(笑)。
その中で突然、「先日の試合では大したダメージもなかったので、もし可能ならば体力別にも出たいと思ったのですが……」と言い出した!!
「おお~それは面白いな~。重量級の層が薄いウチとしては260+へ良い刺激や経験になるだろうし……。チョッと検討してみるか」と塾長。
前述したように、加藤選手は大型選手との戦いを求めてプロの試合を転戦しているのだが、自身のスタンスに対し、思うところが有るようだった。
「あくまでも最終目標は通称『北斗旗 世界大会』、正式名称『世界空道選手権大会』での勝利であり、決して空道を蔑(ないがし)ろにしているわけではないです。しかし今の状況では、『全日本大会』の前後に試合が重なると、プロ団体との契約上、向こうを優先することになってしまいます。また、前年度上位入賞者特権で、直接『全日本大会』に申し込みをしても、万が一の怪我を考えると、出れなくなることも考えられるので、申し込みできないのです……」
この話も分からないではない。
空道連盟では「コンプライアンス」(法令順守≒反社との関わりを持たないなど)の問題をクリアしていると支部長が認めた場合において、総本部への申請があれば、原則としてプロの試合に出ることを否定はしていない。
プロにはプロ、アマにはアマの「一長一短」、「一利一害」があり、競技を単なる技量、体力の優劣を競うものと考えるか、長い人生への糧とするために取り組むかによって、その評価は変わってくるからだ。
ただ、よく見られる傾向で、プロの試合に出る選手が変な優越感を持って「武道なんて……」とか、「プロを経験してるのに、今更……」などと、プロという肩書きについて勘違いする選手がいることは、この違いを認識していないもので、皮相で残念な発言と言わざるを得ない。
念のために、260+の優勝候補の野村幸汰選手や岩﨑大河選手などに聞いてみたところ「是非、やってみたいです」とのこと!!
実現したなら、団体内外に大きな影響があるだろう(選手への刺激、連盟の団結力向上等・大会の話題等)。勿論、「北斗旗」はプロの大会ではないから、集客の為の話材づくりを優先させることはできないし、「大会要項」と言う出場のための様々な規定もあるので、無条件に認めるわけにはいかない。
ましてや、今後、安易に同様の特例を求めてくる風潮が生まれてもいけない。かといって、彼の訴えも頭から無視はできない。
そんなこともあり、全国運営委員長並びに全国各地区運営委員長で検討した結果、以下に示す形で提言された。
「この件は運営会議等で、様々な事例を含めて慎重に検討する余地はある。しかし、選手の安全を考慮した45日ルールも実施されてる以上、今大会への出場は認められない」
大会直前のドタバタではあったが、今後の検討を促す貴重な提言となった。